アトピー性皮膚炎とともに、治療が難しいといわれている皮膚病が尋常性乾癬です。
乾癬は頭皮、肘、膝などの皮膚の硬い部分を中心に紅斑があらわれ、皮膚の角質層が鱗屑と呼ばれるフケ状になって剥がれ落ちます。
症状が進んでくると、紅斑が体中にあらわれるようになり、全身が赤くなることもあります。
尋常性乾癬は表皮細胞の異常増殖によって起こると、西洋医学では考えられています。
皮膚には表皮と真皮があり、表皮の新陳代謝のサイクルは年齢によっても違いますが、だいたい一カ月からニカ月といわれていますが、表皮細胞が異常増殖を起こして、このサイクルが一週間程度に短くなることによって乾癬が引き起こされるとされます。
しかし、肝心のなぜ表皮細胞の異常増殖が起こるのかという根本的な原因についてはいまだに明らかにされていません。
原因がわかっていないのですから、西洋医学では尋常性乾癬を完治させる治療法はありません。
現在、病院で行なわれている治療法はすべて乾癬の症状を抑える対症療法です。
治療法の中心は、ステロイド剤、光化学療法、ビタミンA誘導体、ビタミンDなどを使ったものですが、一時的に症状を抑えられるだけです。
尋常性乾癬では十数年も症状に悩み続け、ステロイド剤漬けのような状態になってしまっている患者も少なくありません。
尋常性乾癬になって十数年もたつ場合、長年のステロイド剤などの使用によって体内に毒素がたまり、ひじょうに近い関係にある皮膚病である掌せき膿庖症の症状を併発することも少なくありません。
私は尋常性乾癬の原因を、ゆがんだ食生活によって体内に毒がたまったことによると考えています。
とくに、肉などの動物性たんぱく質のとりすぎが乾癬の重大な原因になると考えられます。
乾癬の「癬」の字を分解してみると、やまいだれに新鮮の「鮮」、つまり魚と羊という字から成り立っていることがわかります。
乾癬という病名は中国に起源がありますが、古代中国で乾癬は、魚や羊の食べすぎが原因で起こる病気と考えられていたことが、その名からうかがわれます。
私のこれまでの治療経験でも、尋常性乾癬の患者さんは、動物性たんばく質の摂取過剰の傾向が見られ、肉食を控えることが治療の重要なポイントであることがわかっています。
尋常性乾癬は皮膚病のなかでもっとも治療が困難なものといわれていますが、乾癬はかならず治ります。
病巣が全身の30パーセント以内であれば、半年間の治療が必要です。
十年以上の病歴があり、ステロイド剤などの治療薬をそのあいだずっと使用してきたり、全身に症状が広がっている場合には、時間がかかりますが、それでも70パーセントの患者さんが一年半かかります。
尋常性乾癬の治療では体内にたまった毒を出すこととともに、食生活を改善して、肉類の摂取を控えることが不可欠です。
肉、とくに羊、牛、内臓類は絶対に控えなければなりません。
魚もマグロ、カツオなどの赤身の魚、青魚などは控え、食べるのであれば白身の魚にする必要があります。
私のクリニックを訪れる尋常性乾癬の患者さんのなかには、乾癬は治らないといわれ、あきらめていたという人も多くいます。
しかし、ステロイド剤などの使用をやめ、食生活を見直し、体から毒をだしていけば、尋常性乾癬もきれいになるはずです。