アンチエイジング(抗加齢)という言葉が使われるようになって久しくなります。
今や化粧品や健康食品、サプリメントなど、実に多くのものに「アンチエイジング効果」がうたわれていますね。食材にしても、テレビ番組などで「○○には素晴らしいアンチエイジング効果がある」などと放送されれば、翌日にはスーパーで売り切れが続出するということもめずらしくありません。何をどうすればお肌に若々しいハリとツヤが戻るかということは、すべての女性の関心事ですし、近ごろでは男性でも気にする人がでてきています。
これほど多くの人を悩ませているシミやしわ、くすみなどといった肌の老化現象も汚血が原因となっています。
汚血は体表面にたまっていくと述べましたね。体表面、つまり肌のすぐ近くにある毛細血管と細胞の間に汚血があるのです。年齢と共に汚血がたまっていけば、必然的に重量が増していきます。その重さが「肌のたるみ」として表れてきます。薄い皮膚にゼリー状の物質がたっぷりとくっついてしまっているのを想像してみてください。それではハリがなくなってしまうのも当たり前ですね。このたるみがさらにひどくなっていけば、あちこちにしわも生じます。
もちろんツヤも失われます。ピンと張っている布と、だらりとたるませた布とでは、目に見えるツヤにちがいが出るのと同じです。もちろん肌そのもののツヤも失われますし、透明感もなくなっています。汚血というのは肌に必要な酸素も栄養素も運んではくれません。そんな状態では健康的なツヤのある肌を保てるわけがないからです。年々くすみがひどくなる、シミが濃くなった、しわが増えるということも、同じ理由です。
酸素や栄養素が届かなくなればなるほど、肌の新陳代謝は低下していきます。
十代のころなら日やけをしてもすぐに元通り白くなるし、シミもできません。これは汚血がたまらないため肌の新陳代謝が活発で、古くなった角質をどんどん剥がして、みずみずしく美しい真皮を表に出すことができるからです。肌トラブルは内臓からのメッセージ
肌トラブルでもうひとつ気を付けたいことがあります。それは、肌の不調には内臓の病気が関係していることが非常に多いということです。
西洋医学では、ニキビや湿疹、乾燥肌などは、単に肌の病気としてしか見ません。
しかし体全体を見る中国医学では、皮膚の異常は内臓の病気によるものだと考えます。実際に、肌トラブルが起きるのは、内臓の状態が悪化していたり、あるいはすでに病気になってしまっていることが多いのです。いちばん身近なところでわかりやすいのは、ニキビやじんましんです。
チョコレートやケーキなど糖質たっぷりのものや、チーズやナッツ類、霜降りのステーキなど脂肪の多い食事をとりすぎていたら、ニキビがたくさんでてしまったという経験は多くの人がしています。
これは食べ過ぎはもとより、消化に時間のかかるタンパク質や脂肪をとりすぎることによって胃腸が疲弊してしまっていることの現れです。胃腸の機能が低下することによって消化しきれなかった脂肪やタンパク質は、腸の中で腐敗して毒素を出すようになります。その毒素が血液に入り込み、全身を巡ります。不純物をたっぷり含んだ血液は粘度が高いため、毛細血管で滞りがちになります。こうして汚血がさらに増えていきます。ニキビができているのにこうした食生活をやめないでいると、汚血はたまる一方ですから、そのうちひどい内臓疾患になってしまう可能性があります。
じんましんが出るのは、たいてい体が弱っているときです。つまり、睡眠不足やストレス、暴飲暴食などで、内臓機能が著しく低下している際などに、出やすいのです。じんましんは「内臓が疲れています。休んでください」というメッセージにほかならないといっていいでしょう。